2016年ニュース

シリコーン電子材料技術研究所 新研究棟が本格始動
研究開発体制の強化について山谷所長にインタビューしました

今年の2月にシリコーン電子材料技術研究所 新研究棟が完成し、本格始動を開始しました。
そこで、「シリコーンニューズ」145号に掲載した同研究所の山谷所長へのインタビュー記事を改めてご紹介します。

研究開発体制を強化し、さらなるイノベーションの創出へ

1991年に現在のシリコーン電子材料技術研究所が完成してから25年が経ち、新研究棟が2月に竣工、
この4月から本格稼動を開始した。
日本のみならず、世界市場での高機能製品に対するニーズに応えるべく、さらなる研究開発体制の強化を目的に
施設・設備の拡充が図られた。
高機能製品で高い評価を受ける「信越シリコーン」の中核をなす研究所として新たなスタートを切った同研究所の山谷正明所長に、今後の展開やシリコーンの可能性などを伺った。

お客様の声に耳を傾け、世の中にない高機能製品の開発を目指す

── まず、シリコーン電子材料技術研究所(以下 電材研)の役割について改めてお聞かせください。

山谷 シリコーンに関して、基礎から応用まで幅広く研究を行うと同時に、各拠点の情報の集約を図り、研究開発を統括しています。また、当社のシリコーン事業の世界展開において中核となる研究所であり、海外拠点のテクニカルセンターに研究者を派遣して技術指導を行うなど、研究者の育成や全体のレベルアップにも重要な役割を果たしています。現在の電材研ができて25年が経ち、時代とともにお客様のニーズも高度化、多様化し、また製品のハイブリッド化など技術も進化しており、シリコーンのさまざまな可能性を追求するためには、人員、設備とも拡充させる必要があり、今回の新研究棟建設となりました。

── 新研究棟の特徴は何ですか。

山谷 クリーンルームや精密加工機器、また各種物性の評価設備など最新機器を導入し、最先端の研究を進められる体制になっています。また、このような設備面の拡充とは別に、面談スペースを十分に確保したことも特徴です。これは、シリコーンの研究はオーダーメイド品が多く、お客様のご要望を深く理解し、性能はもちろん、その使い勝手なども個々のお客様に合った、いわゆる“かゆいところに手が届く”製品の開発を目指しています。その実現には、お客様との十分な相互コミュニケーションが必要です。もちろん、私たちもお客様のところへご訪問しますが、お客様の方からもどんどんこの研究所に来ていただき、私たちの取り組みを見ていただけるような機会を増やす狙いがあります。

── 研究開発体制を強化し、お客様からの期待も高いと思いますが。

山谷 社内だけでなく、お客様からも期待されていると実感しています。裏返せば、シリコーンがそれだけ可能性のある素材として期待されているということであり、大きなやりがいを感じています。当社のシリコーン事業は高機能製品に軸足を置いた路線を打ち出していますが、お客様から高く評価されているのもこの高機能製品です。実際にお客様とお話をすると、新しい材料を待ち望んでいることがひしひしと伝わってきます。研究者にとってお客様と直に接することはとても大事なことで、若い研究者にも国内・海外を問わず、お客様と直接話をする機会を増やしています。それにより、お客様から思いもよらなかったような反応が返ってきたり、研究室の中にいるだけではわからなかったことに気付いたりします。こういった刺激を糧に、若い研究者が最先端の技術に接しながら、常に新しいことに目を向けて、積極的に研究に取り組める環境を整えています。

── シリコーンの可能性については、どのようにお考えですか。

山谷 シリコーンは、無機と有機の両方の性質を兼ね備えたハイブリッドな素材で、無限の可能性を持っています。天から与えられた本当にすばらしい材料だと私は思っています。実際に用途は、ますます広がっていますし、特許件数も毎年右肩上がりに増えています。事業化してから60年以上経ってもなお進化し続ける材料というのは、本当に珍しい。それゆえシリコーンは、爆発的に売れるベストセラー製品ではなく、息の長いロングセラー製品が多いと言えます。シリコーンの多様な特性を十分に活かして研究開発に取り組み、お客様に長くご愛用いただけるロングセラーの高機能製品をコンスタントに世に送り出していきたいと思っています。

── では最後に、読者の皆さんにメッセージをお願いします。

山谷 シリコーンという材料が、いつまでもお客様のニーズにお応えできる製品であることを願っています。お客様には何でもご相談いただいて、それに対して私たちは全力で取り組み、一つひとつのご要望にお応えしていきたい。また、せっかく最新設備を備えた新しい研究環境ができたのですから、今の世の中にはないような革新的な材料や機能を生み出していけるようにし、夢のような製品開発にもチャレンジしたいと思っていますので、こんなものがあればいいのに、というようなチャレンジングなテーマについてもぜひご相談ください。これからもお客様とのコミュニケーションをいっそう深めて、シリコーンをさらに高機能な材料として進化させていきたいと思っています。ぜひ、これからも「信越シリコーン」をよろしくお願いいたします。

右の本棟とは通路で結ばれ、対をなすかたちで建設された新研究棟(松井田工場内)
右の本棟とは通路で結ばれ、対をなすかたちで建設された新研究棟(松井田工場内)

「シリコーンニューズ Vol.145」 '16春号より

山谷 正明(やまや まさあき)
1952年生まれ。1978年4月信越化学工業 入社
2007年4月 シリコーン電子材料技術研究所第一部長
2009年6月 シリコーン電子材料技術研究所長 就任
現在に至る。

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