信越シリコーン セレクションガイド

耐熱塗料

自動車・バイクなどのエンジン、マフラー周り、プラント、焼却施設、発電設備、フライパンや調理家電など耐熱性を必要とする分野に使用されています。
600℃などの最も高い耐熱性が必要な用途にはストレートシリコーンレジン、耐熱性に加え、防食性や耐薬品性、室温硬化などそのほかの特性が必要な用途には有機樹脂変性シリコーンレジンが使用されます。
また、バインダー成分だけではなく、ほかの有機樹脂を改質して耐熱性を付与する製品のラインアップもございます。

耐熱性データのご紹介(高温加熱時の重量減少率)

一般の有機樹脂、例えばエポキシ硬化物は高温で分解し600℃付近では完全に分解しますが、シリコーンレジンは温度上昇に伴い縮合、メチル基熱分解、フェニル基熱分解を経て、最終的に-Si-O-Si-結合のみで構成された硬化物となり、高温(700℃以上)ではそれ以上加熱減量しません。

メチル/フェニル系シリコーンレジンの加熱減量曲線(空気中)


※エポキシ-アミン硬化物は、温度上昇に伴いアンモニアやアルデヒドを発生しながら分解し、高温域(600℃付近)では完全に分解しますが、シリコーンレジンは温度上昇に伴い縮合、メチル基熱分解、フェニル基熱分解を経て、最終的に-Si-O-Si-結合のみで構成された硬化物となり、高温(700℃以上)でも安定です。

適用製品のご紹介

シリコーンレジン

主にバインダー成分として使用されています。

メチル系

加熱減量が最も少なく硬化被膜の分解・黄変には強いですが剥がれや耐クラックの観点ではメチル/フェニル系の方が有効です。

メチル/フェニル系

400-600℃の高耐熱域で使用されています。ラインアップ自体は多いですが、高硬度がKR-300、中硬度で汎用的なのがKR-311、硬度と可とう性のバランスが良く幅広い分野で使用できるのがKR-282という位置付けです。
バインダーのほかに改質剤としてはKR-211KR-212などがございますが、溶剤系のため最近は無溶剤のシリコーンオリゴマーKR-510が主に使用されています。

有機樹脂変性系(エポキシ樹脂)

エポキシ樹脂の防食性を生かしてアンダーコート用に使用されています。
ES-1001NES-1023が加熱硬化用で工業用の焼き付け施工向け、ES-1002Tはポリアミン系架橋剤KP-390との組み合わせで室温硬化になりますので現場施工用に使用されています。

有機樹脂変性系(ポリエステル)

ポリエステル樹脂の耐屈曲性、耐薬品性、光沢などを生かして主にキッチン周りのアプリケーションに使用されています。KR-5230KR-5234が一般工業用、KR-5235は離型成分を配合しておりノンスティック性があるためフライパン、鍋用に使用されています。

有機樹脂変性系(アルキッド)

アルキッド樹脂の室温硬化性を生かして現場施工用が必要なアプリケーションに使用されています。
KR-5206が代表製品です。


シリコーンオリゴマー

シリコーンオリゴマーは比較的低分子成分のため耐クラック性などがシリコーンレジンに劣ることからバインダーとしての使用事例は少ないですが、ほかの有機樹脂の改質剤としては広く使用されています。特にシリコーン成分が100%で溶剤を使用していないことからさまざまな樹脂の耐熱性を向上させる改質剤として使用されています。
代表的な製品はKR-510ですが、以下はポリエステル樹脂の変性事例です。

シリコーンオリゴマーによるポリエステル樹脂変性

注力していること

1.低VOC化(弱・無溶剤化、水系化)

弱溶剤化

TX(トルエン、キシレン)フリーの製品開発に力を入れており、PGMAC溶剤を使用した製品をラインアップしています。

そのほかの開発製品もございます。ご興味のある方はお問い合わせください。

無溶剤化(ハイソリッド化)

溶剤を使用せずシリコーン有効成分100%のシリコーンレジンを開発しています。

水系化(ストレート)

開発段階ですがご興味のある方はお問い合わせください。

水系化(アクリル変性)

開発段階ですがご興味のある方はお問い合わせください。

2.硬化性、乾燥性の改良

上記の低VOC化に加え、硬化時間の短縮、硬化温度の低下、室温でのタックフリー化が可能になる製品開発を進めております。ご興味のある方はお問い合わせください。