2008年ニュース

マイクロコンタクトプリントの版用シリコーンゴムを開発

フレキシブルディスプレイ用途に適合

信越化学工業株式会社(本社:東京 / 社長:金川千尋)は、次世代のプリンタブルエレクトロニクスの基幹技術であるマイクロコンタクトプリントに欠かせない版(スタンプ)用材料として最適なシリコーンゴムを開発した。

プリンタブルエレクトロニクスは、高真空と高温の製造条件が必要とされる従来のフォトリソグラフィーによるTFTパターニングを、それらの製造条件が不要な印刷法を用いて行う技術で、電子ペーパー、LCDや有機ELのフィルム化などフレキシブルディスプレイへの応用が期待されている。その中で、マイクロコンタクトプリント法は、サブミクロンメートルの超微細かつ大面積印刷が可能な唯一の方法であり、大きな期待が集まっている。

この技術は、独立行政法人新エネルギー・産業技術開発機構(NEDO)の委託で財団法人化学技術戦略機構(JCII)と独立行政法人産業技術総合研究所(AIST)が共同実施している『超フレキシブルディスプレイ部材技術開発』プロジェクトとして開発が進められているが、この中で当社はポリジメチルシロキサン(PDMS)系版材の開発を担当している。

今回発表したシリコーンゴムは、このプロジェクト活動の一環として開発されたもので、本材料を用いた版材はフォトリソグラフィーで形成されたマスター型を忠実に再現・転写する本来の機能に加えて、印刷材料としての適性にも優れている。また、障害となる不純物を最小限に抑え、帯電防止性能も付与されていることも特長としている。今後、同技術はマイクロTASやポリマーMEMS用のモールド材料としての応用も期待されている。

シリコーンは、有機と無機の特性を兼ね備えた高機能樹脂。電気・電子、自動車、建築、化粧品、化学など、幅広い産業分野で高付加価値を付与できる製品として使用されている。

参考資料

■ シリコーンゴム(PDMS)を使用したマイクロコンタクトプリント法
シリコーンゴム(PDMS)を使用したマイクロコンタクトプリント法

■ フレキシブルなプラスチックフィルム上にプリントされた有機薄膜トランジスタアレイ
フレキシブルなプラスチックフィルム上にプリントされた有機薄膜トランジスタアレイ

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