2008年ニュース

新タイプの熱伝導性フェイズチェンジマテリアルを開発

高い放熱性と作業性を両立

信越化学工業株式会社(本社:東京 / 社長:金川千尋)は、このほど新タイプの熱伝導性フェイズチェンジマテリアル「PCS-LTシリーズ」を開発・発売した。

同製品は、当社従来品に比べ柔らかいため基材への貼り付けが簡単で、リワーク性にも優れている。また、実装時には低圧力でも薄くつぶれるため、段差のある発熱面でも優れた放熱効果を発揮することが大きな特長。さらに、(1) 低熱抵抗化が可能なため高い放熱効果を発揮する (2) シート状のため作業性に優れるという一般的なフェイズチェンジマテリアルの特長に加え、シリコーンがベースであるため、(3) 耐熱・耐寒性、電気絶縁性が良い (4) 耐ポンプアウト特性に優れるなど、オレフィン製のフェイズチェンジシートでは得られない優れた長期信頼性を兼ね備えている。

主な用途は、パソコンのCPU、フラットパネルディスプレイのドライバIC、自動車のECUなどで、各種半導体デバイスの放熱に適している。特に段差構造や反りを持つようなデバイスにおいて、耐ポンプアウト特性および長期信頼性に優れた同製品が推奨される。

標準品は両面粘着タイプの「PCS-LT-30」と「PCS-LT-60」の2種類。標準サイズは300mm x 400mmで、プルタブ付きシートやロール形状など、希望するサイズにも対応できる。

放熱材料は、CPUなどの発熱体と放熱器の間に挟む熱伝導性の材料で、パソコン、家電、ゲーム機器のほか、エレクトロニクス化の進む自動車の電装品やLED部品の発熱対策などに需要が拡大している。また、電子機器の小型化、高性能化に伴い、放熱材料に対するニーズはさらに高まっている。

信越化学では、ゴムシート、グリース、ゲル、接着剤などの各種放熱用シリコーンをラインアップ。用途に合わせさまざまな放熱課題に対応することが可能で、今後も高度化する市場のニーズに合わせて製品開発を行っていく。

シリコーンは、有機と無機の特性を兼ね備えた高機能樹脂。電気・電子、自動車、建築、化粧品、化学など、幅広い産業分野で高付加価値を付与できる製品として使用されている。

※ フェイズチェンジマテリアルについて
熱によりシートのポリマー成分が軟化して基材に密着、その結果、熱抵抗が小さくなり、優れた放熱効果を発揮する材料。
※ ポンプアウトについて
ヒートサイクル時の放熱材料の熱膨張収縮や、基材の反りにより、放熱材料そのものが放熱システム系外に流失する現象。オレフィン系の放熱材料は、温度により著しく流動性が変化するため、ポンプアウトによるトラブルを起こすこともある。

参考資料

プルタブ付きフェイズチェンジマテリアルと取り付け例

プルタブ付きフェイズチェンジマテリアルと取り付け例

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