2012年ニュース

信越化学、低屈折率シリコーン封止材料を開発

ガス透過性を大幅に低減、高輝度LEDの信頼性が飛躍的に向上

信越化学工業株式会社（本社：東京、社長：森俊三）は、このほど高輝度LEDパッケージ材料の一つであるシリコーン封止材料として、ガス透過性を大幅に低減した低屈折率タイプの新製品「KER-7000シリーズ」を開発し、照明用LED向けを中心にサンプル出荷を開始します。

低ガス透過性は、耐熱性、耐光性とともにLED封止材料に求められる重要な特性の一つ。ガス透過性が高い封止材料では酸素などの気体が透過しやすいため、LEDの周辺部材に酸化や硫化が発生し、輝度の低下を招く可能性が指摘されていました。

信越化学ではこれまで、耐熱性に優れたメチル系シリコーンや、低ガス透過性を追求したフェニル系シリコーンなど、さまざまな特長を持った封止材料を開発してまいりました。今回新たに開発した製品は、メチル系シリコーンと同等の耐熱性を維持した上で、ガス透過性を10分の1程度にまで大幅に低減することに成功しました。また、フェニル系シリコーンと比べた場合、同製品のガス透過性は同等で、耐熱性は大きく上回ります。同製品を用いた封止材料は、周辺部材の腐食を起因とする輝度の低下防止に効果を発揮するため、高輝度LEDの信頼性は飛躍的に向上します。
また、同製品は屈折率が1.38とメチル系シリコーンよりも低く、光の透過性に優れるため、特に高輝度LED用フラットパッケージの封止材料として最適です。製品には、硬度（デュロメータA）80の「KER-7080 A/B」と硬度（デュロメータA）30の「KER-7030 A/B」の2種類があります。

信越化学では、今回発表した新製品以外にも特長ある高輝度LED用シリコーン封止材料を取り揃えています。代表的な製品である「SCRシリーズ」は携帯電話やノートパソコンのバックライト光源用LED向けに、また長期信頼性に優れ、ガス透過性を大幅に低減した「ASPシリーズ」は液晶テレビのバックライト光源用LED向けを中心に、それぞれ採用実績を増やしています。

信越化学は封止材料のほか、放熱ダイボンド材料、レンズ材料、リフレクター材料（反射材料）、防湿絶縁材料など、次々と新製品を開発、上市している高輝度LEDパッケージ材料で世界最大のメーカーです。今後も世界一のLED向け材料事業をさらに拡大するために、最先端の技術を追求し、高度化する市場のニーズに合わせて製品開発を行ってまいります。

参考資料

■ LEDの構造とシリコーンの使われる箇所

■ 耐熱性とガス透過性