Q&A

エラストマーとは

ゴムのことをエラストマーということがあるようですが、ゴムとエラストマーは同じですか?
ゴムとエラストマーは一般的には同じ意味ですが、生ゴム(原料ゴム)とエラストマー(弾力ゴム)とに区別するのがわかりやすいと思います。一般にゴムは、原料の状態では粘土状になっていて弾力があるとはいい難いのですが、硬化させると弾力を持つようになります。この弾力を持つ状態になったものをエラストマーというのです。常温で固体の生ゴムを引っ張ると伸びますが、放しても多くの場合、元へ戻りません(塑性変形)が、ゴムの分子と分子の間を、橋をかけるように連結すると(架橋)元へ戻るようになります(弾性変形)。
私たちが日常的に接しているのがエラストマーということです。
エラストマーはなぜ伸びたり縮んだりするのですか?
シリコーンを例にとると、硬化前のシリコーンゴムのベースになるポリマーは、長い鎖状になっており、このポリマーがたくさん集まっているのですが、一本一本が離れていてあっちへいったりこっちへいったりします。つまり流動性があるわけです。この状態ではエラストマーとはいえません。しかし硬化後はこのポリマーが所々でつながっている(架橋点がある)ためポリマーが流動せず、引っ張ったり歪がおきたりしても元へ引き戻されるのです。スプリングをイメージするといいのですが、スプリングは引っ張ると伸びるし曲がったりもします。力を抜けば元へ戻ろうとします。一般に架橋点が多いと硬くなり、少ないと柔らかいエラストマーになります。
架橋密度によってゴム弾性の程度が違うということですか?
そういうことです。シリコーンゲルは、架橋密度が極めて低いものの好例です。
ところで、ゴムにはいろいろな種類があるようですが?
天然ゴムに対して合成ゴムという言い方もありますが、合成樹脂全体でとらえて説明しますと、大きく分けて合成樹脂は熱可塑性樹脂と熱硬化性樹脂に分けられます。熱可塑性樹脂は、温度を上げていくと軟化して最後は溶融しますが、冷すと元の固体に戻ります。分子の構造は変化しないので、何度でも溶かしたり固めたりできますが、成型後の物性は温度に影響されてしまいます。熱硬化性樹脂の場合は、加熱によってポリマー主鎖間で架橋反応が起こり分子構造が3次元の網目構造に変わるので、一度硬化した材料は再び軟化させることはできません。種類にもよりますが成型後は安定した物性を保ちます。
シリコーンゴムは熱可塑性ですがそれとも熱硬化性ですか?
シリコーンゴムは熱硬化性樹脂です。RTV(室温硬化)ゴムのように室温で硬化するものがありますが、一般に温度が上がると硬化のスピードは速くなります。
シリコーンゴムの硬化のしくみはどうなっているのですか?
シリコーンゴムはベースポリマーに架橋剤や充填剤などを配合しており、これに架橋反応を促進させる添加剤(触媒、加硫剤)を加え、加熱することにより架橋してエラストマーになります。分子間の結合や反応する部分(官能基)も種類によって変わります。
架橋反応にはいろいろあるということですね?
そうです。架橋すなわち分子同士が結合する際に、副生する何らかの分子を放出する縮合反応と、分子同士が結び付くだけで何も放出しない付加反応があります。そのほかには、UV(紫外線)やEB(電子線)を照射して架橋させる複雑な反応もあります。エラストマーの用途によって、材料の中身が違うということはもちろんですが、ゴム成型の方法によって、架橋形式すなわち硬化方法にもさまざまな種類があるのです。UV硬化は、成型時に加熱したくない場合に適していますし、硬化に時間がかかりますが、シーラントのように室温で空気中の湿気と反応させて硬化させるのもあります。
シリコーンと同じようなゴムはほかにもあるのですか?
特性の違いはいろいろですが、硬化形式の観点から言えば、室温液状で三次元架橋する熱硬化性樹脂の代表的なものは、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂などがあります。
それらのものとシリコーンとの違いは何ですか?
根本的な違いは、主鎖がシロキサン結合(Si-O-Si)であるため分子の骨格が耐熱・耐寒性に特に優れているという点です。

Q&A一覧へ

ページの先頭へ