シリコーンとは?
数字でひもとく「信越シリコーン」

トップメッセージ

当社のPR誌「シリコーンニューズ」に掲載したトップメッセージをご紹介します。

継続した自己変革こそが、持続的成長を導き出す
昨年、新研究棟が完成し、本年からは国内外で建設中の生産設備が順次、完成していく。
これらの設備投資を活かし、さらなる成長を遂げていくための取り組みについて、
上野 進 専務取締役 シリコーン事業本部長に聞いた。

少量多品種生産対応の生産設備により
さまざまなニーズに、きめ細やかに対応

── 2016年はどのような1年でしたか。

上野 昨年は、本当にいろいろなことがありました。まず、リオデジャネイロオリンピックでは日本人選手の目覚ましい活躍があり、2020年の東京オリンピックに期待の持てる結果となりました。また、東京工業大学の大隅良典栄誉教授がノーベル生理学・医学賞を受賞されました。これで、3年連続のノーベル賞受賞となり、21世紀以降の自然科学系3部門で見ると、日本の受賞者はアメリカに次いで多いそうで、産業発展の基盤とも言える科学技術で日本のレベルの高さを裏付けていますね。一方、世界に目を向けると、イギリスのEUからの離脱やアメリカの大統領選の結果など、世界中が注目する出来事がありました。そんな中、シリコーン事業の業績は、ここ2、3年は順調に伸びてきましたが、昨年の上半期は為替変動の影響を受けて思い描いた通りにはなりませんでした。ただ、数量は前年を上回っており、それほど悲観する状況ではありません。一昨年から続いている国内外の設備投資も予定通り進めていきます。

── 投資に関して、まず国内から見ますと、昨年2月に新研究棟が完成し、2017年からは少量多品種生産に対応した生産設備が完成します。

上野 新研究棟が本格的に稼働を始めたのは昨年の4月ですが、研究開発は投資の効果がすぐに現われるものではありませんので、今後に期待したいですね。新研究棟に先立ち、一昨年にはアメリカのニュージャージー州にテクニカルラボを設置しています。研究所やラボの機能が充実してくると試作品や新しい製品がコンスタントに出てきますが、それらの製品をすぐに量産するということは、まずありません。最初はサンプルとして出荷し、徐々に生産量が増えて、量産化という流れをたどります。また、技術の進歩や消費者のニーズの変化も早いため、製品のライフサイクルが短くなっているという側面から、少量しか使用しない製品もあります。このような時代の中で求められるのは、需要に応じて少量の製品でもタイムリーに安定供給できることです。そこで当社では、群馬にフルイド製品とエラストマー製品、直江津にシラン製品の少量多品種生産に対応する生産設備を建設中です。完成後は、お客様の要求にきめ細かく対応できる体制ができ、よりフレキシブルなサポートが可能になります。
また、埼玉県の東松山市にあるシリコーンゴムの成形および加工のテクニカルセンターを拡張します。これは、LIMS(Liquid Injection Molding System=液状シリコーンゴム射出成形システム)の普及に伴い、導入を検討しているお客様へのテクニカルサービスを充実させるためです。

── 海外では、タイでモノマーおよびポリマーの生産能力の増強工事が進められています。

上野 海外展開を強化していくためには、現地生産は必須ですから、タイの投資は、当社の海外展開において重要なポイントです。タイの生産体制を強化することで、アセアン諸国を中心に、アジア地域をさらに強化していきます。また、欧米での積極的な展開も視野に入れていきます。「信越シリコーン」の認知度は欧米ではあまり高くありませんが、それだけ伸びしろがあるということです。まずは潜在顧客を訪ね、プレゼンをしたりサンプルを提供したりする。そして興味を持っていただいたら、群馬の研究所や工場などを見ていただき、当社の研究開発や生産体制などを知っていただきたいと思っています。
ここ数年、国内外で積極的に設備投資を行っていますが、まだまだお客様のさまざまな要求にお応えできる体制にはなっていません。今後も、常に先を見据えながらお客様によりよいサービスを提供するにはどこに何が必要かを検討し、設備の拡充を繰り返していくことで、シリコーン事業をより発展させていきたいと考えています。

変化のスピードが速い時代だからこそ
継続した自己変革が必要

── 世の中の状況も大きく変わりつつありますね。

上野 その通りです。今、世の中は大きな変革期を迎えています。例えば、あらゆるモノをインターネット化してリモートで制御するIoT(Internet of Things)技術や、自動車の自動運転やがん治療に活かされる人工知能(AI:Artificial Intelligence)など、今までとはガラッと違う新しい技術が開花しつつあります。シリコーンがそういう新しい技術を支える材料になっていくためには、どうすべきなのか、研究者だけでなく、営業担当者も常に自身に問いながら、世の中の変化やお客様のニーズを高感度なアンテナでキャッチしていかなければなりません。そして、スピードが何よりも重要なのは言うまでもありません。これからも積極的にお客様とお会いして直接話をすることで、お客様が何を望んでいるのかを肌で感じ取り、それを成果に結びつけていってほしいですね。

── ますます、お客様のニーズをカタチにしていくことは難しくなっていきますね。

上野 確かに難しくなっていますが、これをやっていかないと、先がないということです。シリコーンは、耐熱性、耐寒性、電気絶縁性などの多彩な特性が活かされて、さまざまな用途に使用されていますが、事業化から60年以上経った現在もなお、各産業分野で活躍しているのは、シリコーンが無限の可能性を持ち、進化を遂げてきたからです。シリコーンのさらなる進化のカギは、研究・製造・営業の各部門の一人ひとりが、さまざまな変化への感度をさらに高めていき、そして継続的な自己変革で、時代とともに変化をし続けていくことです。

新しいコモディティ製品を育て
強風にも揺るがない体制で安定成長を目指す

── 世の中の変化に応じて、自己変革していかなければならないと。

上野 はい。そうやって自己変革を遂げながら、シリコーン事業を安定成長させていく道筋を作らなければなりません。シリコーン事業は、コモディティ製品とスペシャルティ製品の両輪で進んでいくことが基本と言われていますが、昨年は、同じ両輪でも「信越シリコーン」の得意とするスペシャルティ製品に軸足を置いて進んでいくと申しました。しかし、スペシャルティ製品ばかり増えては車輪は不安定になり、バランスが取れません。そのためにもスペシャルティ製品の販売量を伸ばす一方で、新しいコモディティ製品を作っていくのです。例えば、コンクリート構造物などの防水施工の工期短縮と長期信頼性を実現するシリコーン粘着シート「シンエツ パッチシール」という製品は、従来、熟練の技が必要だった補修が、誰でも簡単にできるというセールスポイントを持っています。これを高速道路や高架橋の補修に活かしていただき、新しいコモディティ製品に育てていく。理想を言えば、さらに一歩進んで、両輪から4輪へと屋台骨を支え牽引する車輪を増やしていって、ちょっとした強風が吹いても揺るがない体制を築いていきたいですね。

── では、2017年の抱負、そして読者の皆様へのメッセージをお願いします。

上野 2017年は、お客様により一歩踏み込んでサービスを提供していけるようになりたいものです。先程も申しましたように、世の中は技術の変革期を迎えており、新たなニーズが出てきていますから、新製品を生み出すチャンス、しかも大きなビジネスに結びつくチャンスは大きいと言えます。お客様には、ビジネスパートナーとして忌憚のない声をお聞かせいただきたい。そして、営業を担当する販売店の皆様には、日々の営業活動を通じて得た最新の情報をフィードバックしていただきたい。それを受けて当社の営業や研究部門は、お客様のニーズを自分の知識やアイデアを活かしてスピーディに具体化していく。製造部門は、より高品質な製品を効率よく安定して生産する技術をレベルアップしていく。それぞれの役割を高次元で果たしていくことが、お客様が求めるサービスをより早く、より充実させることにつながります。
日本生まれの「信越シリコーン」は、日本で積んできた経験を活かし、日本ならではの“おもてなし”の心で、世界でビジネスを展開していく、これが私たちの進むべき道です。これからも「信越シリコーン」にかかわる関係者が力を合わせ、さらなる高みを目指してまいりますので、本年もよろしくお願いいたします。

「シリコーンニューズ Vol.148」 '17新年号より
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