Q&A

シリコーンゴムの硬さについて

ゴムの特性表などにある「硬さ」と「硬度」は違うのですか?
「硬さ」も「硬度」も物体の“硬さ” “軟らかさ”を表しますが、「硬度」というと“硬水” “軟水”のように水中のカルシウムとマグネシウムの溶解度の意味もあるため、ゴムなどの“物体の硬軟の程度”については、一般的に「硬さ」が用いられています。JIS規格でも「硬さ」で統一されており、当社も「硬さ」を用いています。
硬さ試験とはどのようなものですか?
曲げたり伸ばしたり縮めたりと、大きく変形するのがゴムの特性ですが、この変形にかかる力の強弱、つまり“硬い・軟らかい”といった感覚的な表現を数値化するために行われるのが硬さ試験です。
硬さ試験にはどのような測定機が用いられるのですか?
測定原理としては、測定するゴムの表面に鋭利ではない針(押針、インデンタ)を押し込んで、その変形量を測定し数値化する方法がとられており、針を押し込む力としてスプリングを用いる「デュロメーター硬さ」と、分銅などで一定の定荷重を用いる「国際ゴム硬さ(IRHD: International Rubber Hardness Degree)」があります。このうち「デュロメーター硬さ」の方が、測定機が簡便であることから一般に広く普及しています。当社も基本的に「デュロメーター硬さ」を採用しています。
デュロメーター硬さは、具体的にどのように測定するのですか?
デュロメーターの押針は計器の加圧面から下方に突き出ています。この押針と加圧面を試験片に押し付けると、押針はスプリングの力でゴムにくい込んで変形します。その一方で、加圧面に対してはゴムの弾力で上方に動き、スプリングの力とゴムの力のバランスがとれたところで押針が停止します。目盛りはどのタイプのデュロメーターも0~100になっており、押針の先端がゴムと同一面にあるときが「硬さ100」となります。ですから、押し戻す力が大きいほど数値が大きくなり、ゴムが硬いということになります。
デュロメーターとはどういう意味ですか?
デュロメーターとは、このタイプの硬さ計を初めて製造した米国Shore(ショア)社の商品名で、それが “タイプAデュロメーター” のように一般化したようです。
デュロメーターにはタイプがありますが、どう違うのですか?
デュロメータータイプAとタイプDは、ISO とJIS、アメリカの材料試験協会規格であるASTM D 2240、ドイツや英国の規格などにも対応しています。タイプの違いは、基本的には押針の形状で、ゴムの硬さによって使い分けられます。一般的なゴム(中硬さ)にはタイプA、高硬さ用にはタイプDが用いられます。また、JISでは低硬さ用にタイプEを規格化しています。なお、現在、スポンジや軟質ゴムなどには日本ゴム協会標準規格(SRIS0101)であるアスカーCという硬さ計を使用することもあります。
JIS-A形とタイプAデュロメーターは違うのですか?
JIS-A形は旧JIS(JIS K 6301)で使用されていていたスプリング式硬さ試験機のことで、同じ測定対象でも、タイプAデュロメーターとは、測定値にわずかな差異があります。
硬さには単位はないのですか?
はい。デュロメーターは測定するゴムの硬さに応じてタイプがあり、それぞれの測定機による相対比較値として数値化されています。ですから、タイプの違うデュロメーターで測った数値は同一線上で比較することはできません。そのため、特性表には硬さの数値だけでなく、どのタイプのデュロメーターで測定したかを記載する必要があるのです。ですから、硬さを見るときは数値だけでなく、どの測定機で測ったかを見なければならないのです。

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