Q&A

建築用シリコーンシーリング材(シーラント)について

建築用シーリング材のはたらきについて教えてください。
シーリング材は建築物の水密、気密を目的にしていますが、大きく要点をまとめると以下の3点になります。
  1. 水密、気密性があること
  2. 目地に生じる動き(ムーブメント)に追従すること
  3. 耐久性に優れていること
現在、多種多様な条件を満たすために、シリコーン系のほかにもさまざまなタイプのシーリング材が開発されています。
シリコーンシーリング材のメリットは何ですか?
シリコーンシーリング材は数あるシーリング材の中でも耐候性、耐熱性、耐寒性に優れ、また経時変化も少ないことから、特に過酷な耐候性、耐久性を要求されるところに多用されています。私たちのまわりにある有名な建築物にも採用実績があり、高い信頼性を得ています。
建築物のどのような部分に使われているのですか?
一般住宅では、窓枠のガラス回りシールをはじめ、キッチン、浴室・洗面所などの各種目地に、高層建築物ではカーテンウォールのガラス回りシールなどに使われています。そのほか、工場、病院、クリーンルームなど、さらに水槽*、土木工事などの目地にも使われています。
*フレームレス水槽は除く
耐候性、耐久性などに加えて+αの機能を持ったシリコーンシーリング材としてどのようなものがありますか?
抗菌・防カビ特性を付与した製品、揮散されるガスをできるだけカットした製品、優れた難燃性を付与した製品などがあります。
抗菌・防カビの機能を持つシリコーンシーリング材とはどのようなものですか?
まず、防カビ用シリコーンシーリング材は、浴室や洗面所、キッチンなど水回りで使うシーリング材として防カビ性能を付加して開発された製品です。この防カビ性能に加え、抗菌性能を付与したシーリング材が抗菌・防カビ用シーラントです。この製品は、カビを防ぐだけでなく、黄色ブドウ球菌や大腸菌、緑膿菌などの菌を99.9%減少させることができ、病院の内装をはじめ、食品工場やバイオクリーンルーム、また浴室回りや衛生陶器などの目地シールに最適です。
シリコーンシーリング材からの揮散ガスを抑えたシーリング材とはどのようのものですか?
半導体製品などを製造、加工するクリーンルーム用に開発されたシーリング材で、半導体の高集積化にともない、クリーンルームもさらに高いクリーンレベルを要求されるようになり、開発された製品です。
汎用タイプのシリコーンシーリング材ではどうしてクリーンルームに対応できないのですか?
半導体製品などを製造、加工するクリーンルーム内で起きるトラブルの原因としては、人体などから発する塵、クリーンルーム構成部材からでる塵、そしてクリーンルーム構成部材からでるガス状の物質などがあげられます。3番目の揮散ガスによる問題は、クリーンレベルの向上により表面化してきた現象です。シリコーンシーリング材には、従来から低分子シロキサンと呼ばれる副生成物が含まれていました。この低分子シロキサンがウエハーに付着して表面にシロキサンの薄膜を形成し、処理剤をはじいたり、またクリーンルーム内で微粒子化するという現象が報告されるようになりました。低分子シロキサンだけがクリーンルーム内の汚染物質ではありませんが、真のクリーンルーム用シリコーンシーリング材としては、この問題をクリアにしなければなりません。この低分子シロキサンの揮散を極限までカットしたシーリング材がクリーンルーム用シリコーンシーラント「ピュアシーラント(オキシムタイプ)」と「ピュアシーラントSタイプ(アセトンタイプ)」です。
クリーンルーム用シリコーンシーリング材の実際の効果はどうなのですか?
25℃での揮散ガスの成分を活性炭で吸着してガスクロマトグラフィーで測定したところ、低分子シロキサンは1µg/L >であり、クリーンルーム内の低分子シロキサンの揮散はほとんどないレベルに抑えられています。
難燃性を付与したシリコーンシーリング材とはどのようなものですか?
建築基準法に規定されている防火戸用の指定シーリング材で、1成分形のシーラント40N(オキシムタイプ)と2成分形のシーラント70(アミノキシタイプ)、2成分形のシーラント74(アミノキシタイプ)があります。
シリコーンシーリング材の物性表にある「モジュラス」とは何を表しているのですか?
モジュラスとはゴム弾性体に、一定のひずみを与えたときの応力(その物体が原型を保つために抵抗しようとする力)のことをいいます。例をあげると、輪ゴムを伸ばした時に、輪ゴムが元の形に戻ろうとする力、あるいは消しゴムを指で押したとき、ゴムが元の形に戻ろうとする力であるということができます。そして、50%のひずみを与えたときの応力を50%モジュラスと呼び、単位は一般にN/mm2やMPaで表します。また、2つの材料を比較した場合、図1のように、「AはBに比べて高モジュラスである」と表現します。
具体的にはモジュラス値はどのようなときに検討されるのでしょうか?
モジュラスと接着性、被着体との関係を図示すると図2のようになります。このように、モジュラスと接着強さ、被着体の強さは切っても切れない関係なのです。つまり、モジュラスの高低はシーリング材を選択するときの大きな決定要因になっているのです。
モジュラスの高低はどのように区分されているのですか?
日本シーリング材工業会が定めた基準では、いずれも50%モジュラスの値で、以下のように区分されます。
低モジュラス 0.2N/mm2未満
中モジュラス 0.2N/mm2以上 0.4N/mm2未満
高モジュラス 0.4N/mm2以上
モジュラス区分に対し、具体的にはどのような使い分けをしているのでしょうか?
一概には言えませんが、低モジュラスのシーリング材ほど、ムーブメントが大きく、幅の広い目地に使用されます。ただし、被着体やプライマーのほか、目地の大きさなどの各種条件はそれぞれに異なりますので、シーリング材の選択には十分な検討が必要です。
シリコーンシーリング材の耐寒性、耐熱性の温度範囲は何度ですか?
シリコーンシーリング材の硬化後の耐寒、耐熱の温度範囲は-40℃~150℃になります。
耐熱性を付与した製品もラインアップしていますので営業部にお問い合わせください。

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