Q&A

導電性シリコーンについて

シリコーンは絶縁材料だと思っていましたが、導電性のあるシリコーンもあるのですか?
電気を通す(導体)シリコーン、すなわち導電性シリコーンは、そもそも電気を通しにくい絶縁体(不導体)であるシリコーンに、カーボンブラック(スス=炭化水素の一群)を混入させることによって導電特性を付与したシリコーン材料です。シリコーンゴムに混入する導体(導電性充填剤)としては、カーボンブラックの他に、銀粉末、金メッキされたシリカやグラファイト、導電性亜鉛華などさまざまあります。また最近では、イオン導電性シリコーンゴムの開発も進んでいます。
混入する導体の種類や量などによって導電特性が異なるのですか?
単に導電(電気が通る)といっても、導体を混入したシリコーンの体積抵抗率、熱伝導性などの物性にかかわる条件や温度によって異なりますし、電圧、周波数など電気的干渉の状況によっても特性は変化します。導電性シリコーンゴムでいえば混入するカーボンブラックの種類(例えばアセチレンブラックの場合とケッチェンブラックの場合=炭化水素の分子結合の違い)や混入量によって体積抵抗率などが異なるため、要求される特性によって、高導電性、低導電性のグレードランクを設けることが可能です。さらにシリコーンゴムの特性を工夫して、高い熱伝導性(熱放射性)を併せて付与することも可能です。得られる体積抵抗値は、1×10-2~1×104(Ω・m)です。
導電性シリコーンはどのような用途で使われるのですか?
電卓のキー、テレビ、ビデオなどのリモコンスイッチ、パソコンのキーボードなどに使われている導電性シリコーンラバーコンタクトがあります。これらは、スペーサーを介して電圧の開閉切り替えをするスイッチング機能、スプリング機能、押しボタン機能を合わせ持っています。キーの下部にセットされたプリント基板の電気接点に対応する仕組みになっており、キーの裏側にカーボンブラックを混入したシリコーンラバーが組みつけられています。
金属のスイッチングと比べてラバーコンタクトによるスイッチングのメリットは何ですか?
キートップ、コンタクト、電圧開閉部などを一体加工しやすく量産できること、アッセンブル工程の省力化がしやすいこと、また弾性特性、圧縮永久歪特性に優れるシリコーンゴムのスプリング機能の耐久性やキータッチの軽快性などがあげられます。
そのほかにはどのような用途がありますか?
導電性を実用上で考えた場合、その特性が安定していることが重要な要件ですが、導電性が高くよく電気を通す(高導電)、導電に一定の制限を与えたいもの(半導電)、また用途はもちろん、機器ハウジングや組み付けの方法など実装の条件によって形状が異なります。
例えば、複写機に用いられる半導電性を利用したゴムロールはトナーを電気的に帯電、搬送させる役割も果たしています。電磁波シールドとしての応用では、大型コンピュータのパネル接合部に用いられるチューブ状のモール、携帯電話や医療電子機器のパッキンなどがあります。そのほか、半導体シリコンウエハーの帯電防止のために円盤型に加工されたホールド治具、電気抵抗変化を利用する各種センサー用のパーツとしての応用、電気接点ハンダの代替など、さまざまに使用されています。
帯電防止効果のあるシリコーンゴムとはどんな製品ですか?
シリコーンゴムは、一般的に高重合度のシリコーンポリマーと補強性充填材とを含有しており、それぞれの素材が電気絶縁性であるため各種物質との接触により帯電してしまう特性があります。
今回新規に開発した高性能帯電防止技術は、カーボンなどの導電性粉体を添加することなく、体積抵抗値を約3ケタ低下させることができ、従来のシリコーンゴムがもつ特性を維持しつつ、帯電防止効果を付与することができました。
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