Q&A

化粧品用シリコーンについて

現在、さまざまな化粧品にシリコーンが使用されていますが、いつ頃から使われ始めたのでしょうか?
今から45年以上も前のことです。化粧品業界において、まずシリコーンオイルは、乳化物などを製造する際の消泡剤として使用され始めました。
なぜシリコーンを使用するようになったのでしょうか?
それは、シリコーンという素材の性能が非常に優れていたからです。化粧品は肌に使用するもの、それも毎日使い続けるものですから、化粧品に使用する原料の安全性・安定性は、特に問題となります。 シリコーンオイルは生理的に不活性で、非常に安全性が高く、安定であるという化粧品原料になくてはならない条件を備えています。それが、化粧品に使用されるようになった第一の理由です。
二つ目の理由は、シリコーンの機能を化粧品に取り入れ、新しい化粧料を開発するようになったことです。粉体の表面処理にシリコーンオイルを用いたのは、もう25~30年前ですが、この粉体のはっ水処理技術の成功により水乾どちらでも使用できる2ウェイファンデーションが生まれました。また、人々がスポーツなどを楽しむようになり、汗や水に強い化粧料が開発されましたが、そこにもシリコーンオイルのはっ水性が応用されました。
さらに、持ちのいい化粧料の開発にもシリコーンオイルは一役を担っています。化粧料を肌に塗布した後、肌上に油分が多く残っていると、いつまでもズルズルしておさまりが悪くなります。そこで登場したのが揮発性環状シリコーンオイルです。化粧料を塗布しているときは軽い油として働き、次第に揮発し、化粧がピタッとおさまって最終的に持ちのいい化粧料ができるようになりました。
以上のようなシリコーンオイルのはっ水性、揮発性を利用するだけでなく、シリコーンオイル自体の感触、軽い伸びやべたつきのなさなどの官能的な意味合いからも、注目されるようになりました。
具体的に使用されている用途(商品)を教えてください。
今では、シリコーンオイルはさまざまな化粧料に、またその製造に利用されています。乳液やクリームなどの油剤や活性剤、ファンデーションやアイシャドウなどの粉体の処理剤、口紅製造時の離型剤、粉体の液状油への分散剤、リンスのコンディショニング剤など、挙げたらキリがありません。これからも、シリコーン骨格を持ったさまざまな化粧品原料が開発されていくことでしょう。
2001年4月から厚生省(当時)による規制緩和があったそうですが、どのようなことが変わったのでしょうか?
規制緩和の大きな目的は、消費者保護と国際的整合性を図ることです。「従来の品目許可制度を廃止(品目届出廃止)し、その代わりに全成分表示を義務付ける」というもので、この改訂により、消費者への情報提供が多くなり、また、国際的ハーモナイゼーションも図ることができると考えられています。したがって2001年4月以降、ネガティブリスト(配合禁止成分リスト)およびポジティブリスト(配合制限成分リスト並びに配合可能成分[紫外線吸収剤、防腐剤およびタール色素]リスト)に抵触することなく、かつ化粧品の定義を逸脱しない範囲においては、製造業許可を持っている企業の自己責任のもとに化粧品の製造(輸入)が可能になりました。
それ以前の制度では、「新規成分」を含む場合は、事前の承認・許可が必要でした。ある意味で、厚生省が安全性をはじめ化粧品におけるさまざまな責任を担っていたともいえます。現制度では、安全性のみならず、製品の効果効能もすべて企業責任となります。企業は、あらゆる意味でそれなりのバックデータを持たなければならなくなりました。責任が重くなった分だけ裁量も増え、それだけ企業が独自性を発揮しやすくなったといえるでしょう。

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