Q&A

シリコーンは燃えにくい?

火となって燃える、とよく聞きますが、火や炎というのはどのような現象なのですか?
火の意味は、「物質が酸素と化合して、光をともなって熱を出す現象」で、燃焼の現象を火とよんでいいと思います。
燃えるというのは、酸素との化学反応なのですか?
そうです。燃焼は、ふつう可燃物に火がつく(着火、点火)ことをさしています。燃焼の化学反応の原理を簡単に説明すると、物質中の炭素や水素、あるいは硫黄、一酸化炭素などが酸素と化合する酸化反応です。酸化が継続して気化し、それが燃えだす温度まで熱せられ、しかも酸素または空気が十分に与えられると発火します。
可燃物には発火の条件があるわけですね?
物質によって条件や発火のプロセスが異なるわけですが、可燃物が発火するきっかけとなるものには (1) 加熱を受ける、 (2) 高温の物体に触れる、 (3) 高温のガスに触れる、 (4) 電気火花を受ける、 (5) 摩擦や打撃で火花が出たり高温部ができる、 (6) 炎に触れる、 (7) 急激に圧縮される、などがあり、その作用の程度と酸素量などの諸条件がみたされると発火して燃焼します。
なるほど、さまざまな条件があるのですね。ところで発火と引火がありますが、その違いは何ですか?
火のないところに火がつくのが発火で、すでにある火から新しい火ができるのが引火です。発火と引火の重要な違いは、物質によって発火温度(発火点)と引火温度(引火点)が異なり、引火点が発火点より低いのがふつうです。さらに、同じ物質でも発火点や引火点は、条件次第で変わるということを知っておく必要があります。引火の例では、灯油とガソリンの最低発火温度は約260℃で変わらないのに、灯油の引火点は約50℃で、ガソリンの場合は揮発性が高い(蒸気圧がある)ためマイナス38℃で引火します。灯油ストーブに誤ってガソリンを入れると大変です。
揮発性が高いと引火しやすいのですか?
石油類などの可燃性液体には、木材などの固体と違って蒸気圧がありますから、気化が活発で、しかも、おおむね気化濃度が高いため引火しやすいのです。
シリコーンは可燃性物質ですか?
可燃性です。ジメチルシリコーンオイルの場合は、一般に粘度の低いものの引火点、燃焼点が低く10mm2/sセンチストークスのもので、それぞれ168℃、202℃です。ただ鉱物油に比べると、完全燃焼時のガス(二酸化炭素、水蒸気)発生量が少なく、燃焼熱も小さいため、炎も小さく延焼しにくいといえます。また、酸素指数が高い(必要酸素量が多い)ため、空気(酸素)の供給が十分でない場合は燃焼が継続しません。100mm2/s以上になると連続燃焼しなくなります。
難燃性シリコーンというものがありますが、それらはどういう製品ですか?
シリコーンゴムの場合で説明すると、一般にシリコーンゴムは、炎に近づけても簡単には燃焼しませんが、一度着火すると燃え続けます。しかし、プラチナ化合物を微量添加すると、難燃性や自己消炎性を付与することができます。プラチナ化合物が燃焼によるポリマーの分解、ガス化を抑制するためです。ビルなどの防火戸シーリングに用いられる難燃性シーラントは、プラチナ化合物を配合した製品で、炎が近づいても、2時間は着火しない製品がありますが、炎を遠ざけると消えます。
シリコーンは、基本的には可燃物だが、燃えにくくすることができるということですか?
そうです。燃えにくい特性を付与することができるものもあると考えてください。消防法で定められている危険物分類に該当する製品がたくさんありますし、組成によって引火点の低い製品もありますから、ご使用にあたってはSDS(安全データシート)や危険物に関する資料などをよく読んでください。

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