Q&A

シリコーンの酸素透過性

シリコーンが酸素を通すというのは本当ですか?
はい。シリコーンゴムの酸素を通すはたらき(酸素透過性)は天然ゴムの約30倍、塩ビ樹脂の2,500倍にもなります。他のゴムやプラスチックにシリコーンを組み合わせて使うと、酸素を通しやすくなります。
酸素を通すということは、どういうしくみなのですか?
物質の酸素の通しやすさは、Dk値(酸素透過係数)で評価します。これは、Dk値=溶解係数×拡散係数という関係を表しているのですが、数値が大きいものほど、酸素をよく通すということになります。シリコーンは、酸素を溶かしやすい(溶解係数が大きい)こと、また目には見えない小さな隙間がたくさんある(拡散係数が大きい)素材であるという理由から、Dk値がきわめて高いのです。これはケイ素原子に酸素原子とメチル基が結合したシリコーンの分子構造に由来するものです。
コンタクトレンズにシリコーンが使われているのはそのためですか?
はい。コンタクトレンズは「ハード」と「ソフト」に大別されますが、ほとんどのハードコンタクトレンズにはシリコーンが使われ酸素透過性が付与されています。それに加えて、シリコーンは化学的に安定で生理的にも不活性ですから、安全性の高い素材と言えます。
どうしてコンタクトレンズに酸素透過性が必要なのですか?
酸素を通さないコンタクトレンズは、目の痛みを感じることがありますが、その原因は角膜の皮膚呼吸が妨げられて酸素欠乏の状態になっているからです。Dk値の高いコンタクトレンズならば、十分な酸素を角膜に供給できるため、安全な上、装着感も良好というわけです。目にやさしいコンタクトレンズと言えるでしょう。
ハードコンタクトレンズにシリコーンが使われ始めたのはいつ頃からですか?
そもそもコンタクトレンズの原型は16世紀にレオナルド・ダ・ビンチが考案したとされていますが、実際に使われるようになったのは1890年頃からです。その当時はガラス製のレンズでした。1950年代になってから、加工しやすく丈夫なプラスチック(ポリメチルメタクリレート)製が登場しましたが、酸素透過性はほとんどありませんでした。現在の主流である、プラスチックにシリコーンを配合する共重合技術が完成したのは、1980年代に入ってからのことです。

※ 共重合: 2種ないしそれ以上の単量体(モノマー)が相互に結合して、新しい重合体(ポリマー)またはそれらの混合物を作る反応をいう。

コンタクトレンズの酸素透過性の向上は、シリコーンの開発がキーポイントだったわけですね?
そうです。さまざまなシリコーンが研究され、ついに酸素透過性のハードコンタクトレンズ用として最適なシリコーンが開発されました。このシリコーンは、普通のオイルやゴムに使われているものとは構造が異なっているのですが、工夫に工夫を重ねて、シリコーンの研究を続けた結果、Dk値を十数年の間に20倍も向上させることができました。最新の高Dk値コンタクトレンズは、裸眼状態での酸素供給量に近い酸素透過性を持つため、レンズをつけたままの睡眠や1週間程度の連続装用も可能となっています(注)。

※ コンタクトレンズを使用する場合は、眼科医の指導が必要です。

ソフトコンタクトレンズにはシリコーンは使われていないのですか?
現在のソフトコンタクトレンズは、含有する水分を介して酸素を通す(水分が酸素を溶かして運ぶ)しくみなので、シリコーンを使わなくても十分な酸素透過性が得られています。しかし、一方では汚れにくく消毒も不要で水分を含まないソフトコンタクトレンズも研究されており、これにはシリコーンが必要になるかもしれません。

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