Q&A

シリコーンパウダーについて

アクリル樹脂パウダーなどの有機系パウダーと比較し、シリコーンパウダーは特性的に何が違うのでしょうか?
有機系のパウダーに比較し、耐熱性、耐寒性、耐候性、潤滑性に優れています。
カタログに「含水率」や「ゴム硬度」とありますが何のことですか?
「含水率」は、105℃/3時間の乾燥条件で測定した揮発分です。細孔のない形状であるため、含水分は粒子の中ではなく粒子表面に吸着しています。
「ゴム硬度」は、JIS K 6253「加硫ゴムおよび熱可塑性ゴムの硬さ試験方法」に記載のタイプAのデュロメータによる測定値です。デュロメータは、試験片表面に、押針をばねを介して押しつけたときの押針の押込み深さから硬さを求める試験機です。粒子の硬度を直接測定することは不可能なため、同じ組成でバルク状に成形したものを試験片としています。
シリコーンレジンパウダーの硬さはどんなレベルですか?
シリコーンレジンパウダーの硬さを直接測定するには特殊な装置が必要です。また、ゴムのようにバルク状に成形することが不可能なため、硬さを測定したデータはありません。
シロキサン結合が高度に三次元網目状に架橋した構造であるため、硬い材質ですが、有機基(メチル基)を含有した構造のため、シリカやガラス(SiO2)に比較すると硬度は少し低くなります。
樹脂への添加方法や分散性を教えてください。
タイプ別に下記のようになります。
  • シリコーンレジンパウダーは、凝集しにくいため樹脂には容易に分散します。配合が不均一になる場合には、マスターペレットを使用する方法を検討してみてください。
  • シリコーンゴムパウダーは凝集性があるため、一次粒子にまで分散させるには高いシェアのかけられる攪拌機による分散や、高粘度状態のコンパウンディングとして練り込むなどの方法が必要になります。せっかく一次粒子にまで分散させても粘度の低い材料中では時間とともに凝集してくる場合があるので、注意が必要です。
  • シリコーン複合パウダーは、粒子表面がシリコーンレジンで被覆されているため、シリコーンレジンパウダーに近い分散性を示します。
有機溶剤への膨潤、溶解はありますか?
タイプ別に下記のようになります。
  • シリコーンレジンパウダーは、シロキサン結合が高度に三次元網目状に架橋した構造であるため、有機溶剤に不溶であり、膨潤もしません。有機溶剤に比較し真比重が高い(真比重=1.3)ため、経時で沈降することを留意する必要があります。
  • シリコーンゴムパウダーは、ジメチルポリシロキサンが架橋した構造であるため有機溶剤に不溶ですが、ジメチルシリコーンオイルを溶解する溶剤に対して膨潤します。
  • シリコーン複合パウダーは、シリコーンレジンで被覆されているためシリコーンゴムパウダーより膨潤量は少なくなる傾向にはありますが、ゴム部分がジメチルシリコーンオイルを溶解する溶剤に対して膨潤します。
ほかのパウダーとの屈折率の違いは?
有機系パウダー、無機系パウダーに比較して屈折率は低く、シリコーンゴムは1.41~1.42、シリコーンレジンは1.43です。
カタログ以外の粒径(小、大粒径)を製造することは可能ですか? また分級により、粒度分布の幅を狭くすることは可能ですか?
タイプ別に下記のようになります。
  • シリコーンレジンパウダーは、カタログ記載品より小さな粒径および大きな粒径のものを製造することは技術的に難しくなります。
  • シリコーンゴムパウダーは、粒径を小さくすることは可能ですが、凝集性がかなり高いものになり一次粒子に分散させることができないものになってしまいます。そうなると、粒径を小さくした意味がなくなってしまいます。界面活性剤を用いた水分散液であれば、小粒径品の製造は可能です。
  • シリコーン複合パウダーは、小粒径化するとシリコーンレジンの被覆が困難になることから、製造は不可能です。

分級に関して、シリコーンゴムパウダーは凝集性があることから分級することは不可能です。シリコーンレジンパウダーおよびシリコーン複合パウダーは、分級操作は可能ですが、必要なものまでカットされてしまいロスが多くなり高価なものとなるため、現実的ではありません。

加熱による揮発分の発生はありますか? また、揮発分の成分は何ですか?

シリコーンパウダーは、メチル基などの有機基を含むため、高温雰囲気では酸化、分解を起こし、ホルムアルデヒドや二酸化炭素などを発生します。また、ゴムパウダーでは熱分解により揮発性の低分子シロキサンが発生します。微粒子タイプの複合パウダー(KMP-605、X-52-7030)では、酸化熱により発熱する場合があります。詳細についてはSDSを参照願います。

揮発性の成分は、レジンパウダーについては水分が主で、通常1%です。また、ゴムパウダーおよび複合パウダーは、数十ppmのレベルで揮発性の低分子シロキサンを含みます。

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