Q&A

「RoHS指令」とは

最近よく見かける「RoHS指令」とは、何のことですか?
「RoHS」とは、「Restriction of the use of certain Hazardous Substances in electrical and electronic equipment」、つまり「電気電子機器に含まれる特定有害物質の使用制限」のことで、頭文字から「ローズ」指令と呼ばれています。「RoHS指令」は、2006年7月以降に欧州連合(EU)内で発売される電気・電子製品に適用されています。
規制の対象になる物質は何ですか?
鉛、カドミウム、水銀、六価クロム、PBB(ポリ臭化ビフェニール)、PBDE(ポリ臭化ジフェニルエーテル)の6物質で、これらの使用量が制限されます。
具体的にはどのような製品が規制の対象となるのですか?
規制される主な製品は、同じくEU指令である「WEEE」(Waste Electrical & Electronics Equipment:廃電気電子機器)と密接な関係があり、WEEEで指定されている電気電子機器が対象になります。
RoHS指令とWEEE指令はどういう関係ですか?
EUでは多量に排出されている廃電気電子機器は、ほとんどが前処理されず埋め立てられたり、焼却されたりしているのが実情で、埋立施設や焼却施設で検出される鉛(有害物質)の半分近くが廃電気電子機器によるのではないかと問題視されています。そのため、こうした特定有害物質を含んだ電気電子製品の販売を防止することにより特定有害物質に起因する環境への悪影響も防止しようとする狙いがあります。RoHSは電気電子機器生産時の、WEEEはそれらの廃棄時の規制ということです。一体で運用していくことで環境へのリスクや影響を最小限にするのが目的です。
日本にはこのような規制などはないのでしょうか?
日本では化審法でPCBなど有害物質の製造が規制されていますが、今回、RoHS指令で規制される6物質については、大手電気電子機器メーカーが独自に基準を定めてグリーン調達運動を始めています。グリーン調達とは、「原材料調達の際、環境負荷のより低い物品を、あるいは環境に配慮しているメーカーを優先する」というものです。
信越化学ではどのような対応をしているのですか?
RoHS指令で指定されている6物質のうち、PBBとPBDEを除く4物質はELV(End of Life Vehicles)指令でも特定有害物質に定められています。シリコーン製品は、RoHS指令やELV指令の対象である電気・電子機器、自動車などに多く使用されており、必然的に対応が迫られますが、当社はすでに、あるメーカーのグリーンパートナーとして対応しています。
具体的にはどのような対応をしていますか?
カドミウム、鉛については、これを含有する製品の製造中止、または代替新規製品への移行を実施しました。また購入原料・容器については、RoHS指定6物質を含め、環境負荷物質の含有調査をするシステムを作っています。不純物として含有される可能性のある原料については、納入メーカーとの間で原料規格などの見直しを実施中です。製品開発時には、製品設計段階で環境負荷物質の使用・含有の有無を確認するシステムを、工程の変更時にも環境負荷物質の混入のないことを確認するシステムを構築するなどして対応しています。
EUだけの問題ではないのですね。
EUは「持続可能な発展」、「経済成長と環境政策の調和」を基本戦略としています。今回、他に先駆けて規制が進められていますが、こうした考えは世界共通であり、特定地域内だけにとどまるものではありません。当社としても、原材料、部品を供給するサプライチェーンを構成する一員として環境負荷の低い製品の開発・提供に努めていくことが必要だと考えています。

※ この記事は、2005年10月時点の情報で、当社PR誌「シリコーンニューズ」で紹介したものです。

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