信越シリコーン セレクションガイド

シリコーンレジン・オリゴマー

シリコーンレジン・オリゴマーは、結合エネルギーの高いシロキサン結合(Si-O-Si)で構成された樹脂であり、その皮膜は耐熱性、耐候性、電気絶縁性、はっ水性など、数々の特性を持っています。

基本構造

シリコーンレジン・オリゴマーは、結合エネルギーの高いシロキサン結合(Si-O-Si)が3次元状に構成された樹脂で、熱や湿気等により硬化被膜を形成します。  

シロキサン結合の特長

シロキサン結合を主骨格とするシリコーンレジン・オリゴマーは、結合エネルギーが大きいため、耐熱性や耐候性、電気絶縁性などの特性に優れています。  
主骨格:シロキサン結合
シロキサン結合 すべてのシリコーン製品は以下の4つの基本単位から構成されますが、シリコーンレジン・オリゴマーは主に3官能(T単位)により構成され3次元状のシロキサン結合を有しています。また、骨格の一部に2官能(D単位)を持つ製品は可とう性、はっ水性に優れた被膜を形成します。  

シリコーンの構成単位

シリコーンの構成単位  

硬化機構

ほとんどの製品は縮合硬化タイプで、シリコーンレジンは反応性の官能基がシラノール基(Si-OH)で加熱によって縮合反応がおこり硬化します。シリコーンオリゴマーは反応性の官能基がアルコキシ基(Si-OR)で湿気により加水分解され縮合反応がおこり硬化します。  

硬化機構:縮合硬化タイプ

脱水縮合硬化タイプ硬化機構   また、一部、付加硬化タイプの製品もラインアップしています。付加硬化型のメリットは硬化時の収縮が少ないことで寸法安定性が必要な成形物や厚膜でのコーティング用途に使用されています。  

付加硬化タイプ

メリット:硬化収縮が少ない  
代表製品
一液タイプ:
X-40-2756
二液タイプ:
X-40-2667A/X-40-2667B
硬化機構
硬化機構付加硬化タイプ  

使用方法

シリコーンレジン・オリゴマーは、単体で硬化被膜を形成する“主剤”と、他の有機樹脂を改質する“樹脂ハイブリッド化剤”の2つの使用方法があります。

性能と用途例

シリコーンレジン・オリゴマーは耐熱性や耐候性などに優れ以下の用途に適用されています。 また、最近は帯電防止性、はつ油性、耐アルカリ性、耐屈曲性などユニークな特徴を持つ製品群の開発に力を入れています。 性能と用途例
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X-40-2669

X-40-2669

X-40-2669

  • 比較的低分子でエポキシ樹脂との相溶性に優れる
  • 直鎖状シロキサン骨格を持ちレベリング性、濡れ性が良好
  • 低粘度で反応性希釈剤としても有効

X-40-2761

X-40-2761

  • 開発品
  • アクリル当量 330g/mol
  • 耐クラック性の付与
  • アクリレートおよび各種光開始剤との相溶性に優れる
  • UV/EB硬化系に適用可

X-41-1610

X-41-1610

  • TX(トルエン、キシレン)フリータイプ。PGMAC溶剤使用
  • シリコーン樹脂の耐熱性とエポキシ樹脂の防食性、密着性を併せ持つ
  • 塗料(下塗り用)のバインダーとして主に実績あり

X-40-9309A

X-40-9309A

  • 紫外線吸収剤を含有し、基材の紫外線劣化を防止
  • 室温硬化
  • 一液タイプ(硬化触媒含有タイプ)
  • 高硬度の被膜を形成

X-40-9301

X-40-9301

  • 開発品
  • 耐アルカリ性
  • 耐水性

X-40-2756

X-40-2756

  • 開発品
  • 付加硬化型
  • 硬化触媒を含有し一液化
  • 硬化収縮が少ないため、成形物や厚膜化が可能
  • ガラス基材への密着性も良好

X-40-9300

X-40-9300

  • 開発品
  • アルコキシ基の反応性が非常に高く速硬化
  • 耐アルカリ性
  • 耐水性

X-48-1030D

X-48-1030D

  • 開発品
  • TX(トルエン、キシレン)溶剤フリー
  • 溶剤としてDMFDG(ジプロピレングリコール ジメチルエーテル)とPGMAC(プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート)を使用
  • 室温乾燥で被膜を形成
  • 高硬度で耐熱性に優れた被膜を形成

X-88-2003A

X-88-2003A

  • 高硬度と耐クラック性を両立。特に、高温環境下での耐クラック性に優れる
  • 防汚性(撥水性、滑水性、耐マジック防汚性)が良好
  • 速硬化
  • 一液タイプ

KR-4000A

KR-4000A

  • シリコーン系コーティング剤に添加可能
  • はっ水性、滑水性を付与
  • 拭き上げ施工しても防汚性能を維持

X-48-1801

X-48-1801

  • イソシアネート系硬化剤との併用が可能
  • コールドブレンド*するだけで使用可能
  • 推奨添加量は硬化剤に対して3%~20%(NCO当量換算)
  • 耐候性や耐マジック汚染性が向上
  • 対象ポリオールは主にアクリル/ポリエステル/アルキッドポリオール

*コールドブレンド:加熱せずに単純に混ぜて配合する手法

X-48-1800

X-48-1800

  • コールドブレンド*するだけで使用可能
  • 対象樹脂は主にシリコーン変性されたアクリルポリマー/ポリエステル/アルキッド/弱溶剤アクリル樹脂/NAD
  • 耐候性、耐熱性、耐マジック汚染性、耐酸・耐アルカリ性などが向上
  • 推奨添加量は樹脂固形分100に対し10~50部

*コールドブレンド:加熱せずに単純に混ぜて配合する手法

X-88-2005

X-88-2005

  • 防汚性(撥水性、耐マジック防汚性)が良好
  • 脱エタノール型でも速硬化
  • 一液タイプ

X-88-1007

X-88-1007

  • 開発品
  • SUSやアクリルなどの難接着基材にも密着性良好
  • 耐クラック性、はっ水性良好

X-88-1004

X-88-1004

  • 開発品
  • SUSやアクリルなどの難接着基材にも密着性良好
  • 高硬度で耐擦傷性良好

X-48-1600

シリコーンオリゴマー・タイプA

X-48-1600

  • 開発品
  • 高硬度と耐屈曲性の両立
  • エトキシ基の脱エタノール反応で硬化
  • 環境対応型(脱メタノール反応ではないため)

KRW-6000シリーズ

KRW-6000シリーズ

  • シリコーンレジンの水分散タイプです
  • 常温で水が揮発することで被膜を形成します
  • 有機溶剤非含有であり、硬化反応により発生する成分は、水だけです
  • 乳化剤を使用しておらず、シリコーン100%の被膜が形成可能です
  • 室温で硬化が進行しますが、数分間の加熱により、硬化時間の短縮が可能です
  • 耐候性、耐熱性、防汚性に優れた被膜を形成します

X-48-1407

X-48-1407

  • 従来、接着が難しかったポリカーボネートをはじめとする、各種樹脂基材に良好な密着性を有する
  • 無溶剤、低粘度の湿気硬化型コーティング剤
  • 短時間で硬化し、高硬度の撥水塗膜が得られる
  • 低粘度のためスプレー塗工可能

X-48-1500

シリコーンオリゴマー・タイプA

X-48-1500

  • 開発品
  • 高硬度と耐屈曲性の両立
  • 速硬化

X-40-2728

X-40-2728

  • 比較的低分子でエポキシ樹脂との相溶性に優れる
  • 環状シロキサン骨格を持ち硬化時の収縮が少ない
  • 2官能のため耐クラック性良好

KR-251

KR-251

  • 超高重合度
  • 室温でも溶剤が揮発すればラッカー被膜を形成
  • 加熱によりさらに耐熱性、耐薬品性に優れた被膜を形成
  • 主に電気絶縁、耐水コート剤として実績あり

X-40-9312

シリコーンオリゴマー・タイプA

X-40-9312

  • 開発品
  • 高硬度でありながら、耐クラック性を有する
  • 光照射後の耐黄変性、耐クラック性に優れる

X-40-2450

X-40-2450

X-40-2450

  • 樹脂への添加時に表面移行しやすい
  • 少量の添加で帯電防止性能を付与
  • 剥離性、すべり性、滑水性も付与可能

KR-470

KR-470

KR-470

  • 比較的低分子でエポキシ樹脂との相溶性に優れる
  • 環状シロキサン骨格を持ち硬化時の収縮が少ない

X-48-1501

X-48-1501

  • 開発品
  • 高硬度、耐屈曲性、耐熱クラック性、耐衝撃性を
    併せ持つ

KR-4000G

シリコーンオリゴマー・タイプA

KR-4000G

  • 一液タイプ
  • 艶に優れる。撥水性、滑水性が良好
  • 拭き上げ施工しても防汚性能を発揮
  • シリコーン以外の有機樹脂に添加することで、撥水性を付与

KR-401N

KR-401N

  • 可とう性のある被膜を形成
  • 高光沢
  • KR-401から硬化触媒を除いた製品

KR-401

KR-401

  • 耐屈曲性に優れる
  • 高光沢

KR-517

シリコーンオリゴマー・タイプR

KR-517

  • アルコキシ基はメトキシ基とエトキシ基
  • エポキシ当量 830g/mol

X-24-9590

シリコーンオリゴマー・タイプR

X-24-9590

  • アルコキシ基はメトキシ基
  • エポキシ当量 590g/mol

KR-516

シリコーンオリゴマー・タイプR

KR-516

  • アルコキシ基はメトキシ基
  • 有機置換基はエポキシ基以外にメチル基を併せ持つ
  • エポキシ当量 280g/mol

KR-518

シリコーンオリゴマー・タイプR

KR-518

  • アルコキシ基はメトキシ基とエトキシ基
  • メルカプト当量 800g/mol

KR-519

シリコーンオリゴマー・タイプR

KR-519

  • アルコキシ基はメトキシ基
  • 有機置換基はメルカプト基以外にメチル基を併せ持つ
  • メルカプト当量 450g/mol

KR-513

シリコーンオリゴマー・タイプR

KR-513

  • アルコキシ基はメトキシ基
  • アクリル当量 210g/mol
  • UV/EB硬化系に適用可
  • KBM-5103(モノマータイプ)より低揮発

X-40-9296

シリコーンオリゴマー・タイプR

X-40-9296

  • アルコキシ基はメトキシ基
  • メタクリル当量 230g/mol
  • UV/EB硬化系に適用可

KR-511

シリコーンオリゴマー・タイプR

KR-511

  • アルコキシ基はメトキシ基
  • ビニル当量 530g/mol
  • 難燃剤として実績あり

X-40-2678

X-40-2678

  • 比較的低分子でエポキシ樹脂との相溶性に優れる
  • 環状シロキサン骨格を持ち硬化時の収縮が少ない
  • 2官能のため耐クラック性良好

KR-2710

KR-2710

  • ポリカーボネート難燃剤
  • 透明性良好

X-48-5030

X-48-5030

  • UV硬化型で⼤気下での硬化性が良好
  • 低粘度、耐擦傷性、低反り性に優れる
  • スプレー塗工などの低粘性が求められる塗工法にも
    対応可能

X-48-5031

X-48-5031

  • UV硬化型で⼤気下での硬化性が良好
  • 紫外線吸収剤を配合し耐候性に優れる
  • 低粘度、耐擦傷性、低反り性に優れる
  • スプレー塗工などの低粘性が求められる塗工法にも
    対応可能

KR-5206

KR-5206

  • シリコーン樹脂の耐熱性とアルキッド樹脂の室温硬化性を併せ持つ
  • 室温硬化のため現場塗装用の塗料のバインダーとして主に実績あり

KR-220LP

KR-220LP

  • 固形(シリコーン分100%)でパウダー状
  • KR-220Lをさらに粉砕しパウダー化したもの
  • 低発煙

KR-242A

KR-242A

  • 高硬度な被膜を形成
  • 加熱による発煙が少ない
  • マイカなど無機材料のバインダーに実績あり

X-40-2406M

X-40-2406M

  • 耐ヒートショック性に優れる
  • 耐熱性に加え離型性あり
  • 塗料
  • コーティング用途で実績あり

KR-211

KR-211

  • 有機樹脂の改質剤
  • 耐熱性や耐候性の付与が可能
  • 主に塗料用途で実績あり

KR-212

KR-212

  • 有機樹脂の改質剤
  • KR-211よりも相溶性、可とう性に優れる
  • 耐熱性や耐候性の付与が可能
  • 主に塗料用途で実績あり

KR-255

KR-255

  • 室温でも溶剤が揮発すればラッカー被膜を形成
  • 加熱によりさらに耐熱性、耐薬品性に優れた被膜を形成
  • 主に電気絶縁、耐水コート剤として実績あり

KR-271

KR-271

  • 耐熱性、電気絶縁性に優れた被膜を形成
  • 可とう性が特長で高温時のクラックや剥がれが少ない
  • 主に塗料、コーティング剤のバインダーとして実績あり

KR-282

KR-282

  • 耐熱性に優れた被膜を形成
  • 高温時のクラックや剥がれが少なく、性能のバランスが良い
  • 主に耐熱塗料のバインダーとして実績あり

KR-300

KR-300

  • 耐熱性に優れた被膜を形成
  • 高硬度
  • 主に耐熱塗料のバインダーとして実績あり

KR-311

KR-311

  • メチル/フェニル系のスタンダード製品
  • 耐熱性に優れた被膜を形成
  • 有機樹脂との相溶性良好
  • 主に耐熱塗料のバインダーとして実績あり

X-40-2667A

X-40-2667A

  • 付加硬化型
  • 主剤(A剤)と硬化剤(B剤)の二液タイプ
  • 硬化収縮が少ないため、成形物や厚膜化が可能
  • ガラス基材への密着性も良好

KR-480

KR-480

  • ポリカーボネートの難燃性付与剤として開発
  • フェニル基が多く有機樹脂への相溶性が良好
  • シラノール基がほとんど無く熱可塑性
  • エポキシ成型物の応力緩和性付与剤としても実績あり

ES-1001N

ES-1001N

  • シリコーン樹脂の耐熱性とエポキシ樹脂の防食性、
    密着性を併せ持つ
  • エポキシ樹脂変性シリーズのスタンダード製品
  • 塗料(下塗り用)のバインダーとして主に実績あり

ES-1002T

ES-1002T

  • シリコーン樹脂の耐熱性とエポキシ樹脂の防食性、密着性を併せ持つ
  • ポリアミン系架橋剤(KP-390など)の併用で室温硬化が可能
  • 室温硬化のため現場塗装用の塗料(下塗り用)のバインダーとして主に実績あり

ES-1023

ES-1023

  • シリコーン樹脂の耐熱性とエポキシ樹脂の防食性、密着性を併せ持つ
  • ES-1001Nよりも基材密着性、耐衝撃性に優れる
  • 塗料(下塗り用)のバインダーとして主に実績あり

X-40-2327

X-40-2327

  • 速硬化
  • リコート可能

KR-5230

KR-5230

  • シリコーン樹脂の耐熱性とポリエステル樹脂の耐薬品性、耐屈曲性、高光沢性を併せ持つ
  • ポリエステル樹脂変性シリーズのスタンダード製品

KR-5234

KR-5234

  • シリコーン樹脂の耐熱性とポリエステル樹脂の耐薬品性、耐屈曲性、高光沢性を併せ持つ
  • KR-5230に比べ硬化性に優れる

KR-5235

KR-5235

  • シリコーン樹脂の耐熱性とポリエステル樹脂の耐薬品性、耐屈曲性、高光沢性を併せ持つ
  • ノンスティック性がありキッチン周りの耐熱塗料用途に実績あり

KC-89S

KC-89S

  • 低分子
  • T単位のみで構成
  • 高硬度の被膜を形成
  • コーティング剤のバインダーとして実績が多い

KR-515

KR-515

  • KC-89Sより高分子化
  • T単位のみで構成
  • コーティング剤のバインダー、有機樹脂の改質剤として実績あり

KR-500

KR-500

  • KR-515より高分子化
  • T単位のみで構成
  • メチル系ではスタンダード製品
  • コーティング剤のバインダー、有機樹脂の改質剤として実績あり

X-40-9225

X-40-9225

  • KR-500より高分子化
  • T単位のみで構成
  • コーティング剤のバインダー、有機樹脂の改質剤として実績あり

X-40-9246

X-40-9246

  • D単位を導入し可とう性付与
  • コーティング剤のバインダー、有機樹脂の改質剤として実績あり

X-40-9250

X-40-9250

  • D単位を導入し可とう性付与
  • コーティング剤のバインダー、有機樹脂の改質剤として実績あり
  • はっ水性、滑水性が良好
  • 張り紙および落書き防止性に優れる

KR-400N

KR-400N

  • 高硬度な被膜を形成
  • KR-400から硬化触媒を除いた製品

KR-220L

KR-220L

  • 固形(シリコーン分100%)でフレーク状
  • 抵抗器塗料、金属粉焼結体のバインダーなどに実績あり
  • 低発煙

KR-510

KR-510

  • メチル/フェニル系のスタンダード製品
  • 主に有機樹脂の耐熱性、耐候性改質目的で実績あり
  • オリゴマー系コーティング剤に可とう性、耐クラック性の付与が可能

KR-213

KR-213

  • 樹脂改質用
  • 可とう性、耐クラック性の付与が可能

KR-400

KR-400

  • 一液タイプ(硬化触媒含有タイプ)のスタンダード製品
  • 高硬度な被膜を形成